■幻のパン[モイスト]開発秘話
素材を知り尽くした粉屋だからこそできるパンがあります。
口コミで広がって通販でも人気を呼んだのは、美味しいからこそ。
きっと喜んでいただけると信じてお送りします。
焼きたてのおいしさが伝われば嬉しいのですが。
produced by Asahi Flour Mills
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平成5年に小麦粉の加工に、従来の常識概念をすて一工夫してみようと思いました。強力粉だったのでたまたまパンの試作に取り掛かりました。
どんなパンを作るための小麦粉にしようかとコンセプトの絞込みに入りました。

当時既に製パン業界においては、今日の寡占的状況が一段と進み、パンを購入する場所は一部の焼きたてベーカリーを除きほとんどがスーパーコンビニになってきておりました。乳化剤や添加剤の技術は大変な進歩をとげ、商品のバラエティー化もほぼ考えつくされた状況でした。ただ小麦粉の技術は、旧態以前としたものがあり、唯一未開の分野といっても過言ではなかったと思います。

そんな中でどんなコンセプトをもつパン用の小麦粉を開発するかということです。私は美味しいパンを作る気は毛頭ありませんでした。美味しいパンはこの時既に出尽くしておりました。そこで選んだテーマは「朝食に食べ易いパン」でした。

朝食にパンを選ぶ理由の多くに簡便性をあげております。本当はご飯をたべたいけど。みたいな人は結構多い。(私もそうです)ホテルの朝食で和食ですか洋食ですかときかれたら、和食ですと答える人は圧倒的に多いような気がしませんか? 日本人が米を選択する最大の理由はご飯とパンの水分量の違いにあります。もっとみずみずしいパンを作ることができたなら、必ず朝食でのパン需要をもっと掘り起こすことができる。そんなことを思いながら研究をスタートさせました。

第一回目の試作で、最高の結果を得ることができました。通常は小麦粉100に対し60〜70を加えパン生地を練りますが、この時の試作はなんと小麦粉100に対し水を100加えることが出来ました。いまでもこの時のパンが一番すばらしいものであったことは、間違いありません。今は妥協の産物で85位の水で仕込んでます。

最初に完成品以上のものが出来たことは往々にしてよくないことが多い。その後2年間、温度が10度を下回る冬になると、このパンがさっぱり焼けなくて、途方にくれたことを覚えています。3年目にようやく原因をつかんだときはなんで気がつかなかったのか苦笑いしたものでした。

当初小麦粉の製造に自信が全くなかったので、毎週一回パンの適正テストをしておりました。25Kgの粉1袋を仕込むと、3斤の長い食パンが33から34本できるので、従業員に500円玉と交換で販売しておりました。

当社従業員は愛社精神のあるものは殆どなく、自分の気に入らないものはたとえ会社の商品でも見向きもしないのであります。そんな従業員が毎週注文してくれるようになり、近所の人が人知れず予約をいれ買いに来てくれたり、人伝えにひろがってきました。

旭製粉はパン屋ではないので私は全く営業をする気もありませんでした。(今もそうです)が10年経った今、従業員用に30本毎週焼いていたものが600本毎週になりかくれファンがおられることを耳にし、驚きの一言です。(私はきれいなおねえさまを見るとこのパンをプレゼントするようにしております。)買い方のわからない方も多く、幻のパンとも呼ばれてるみたいです。

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